夢でいいから~25歳差の物語
16時3分発の東営線に13分ほど揺られ、福住駅から今度はバスに揺られてたどり着いた先、そこは…。


「先生、ここがあの有名な…」


「羊ヶ丘展望台ですね」


羊ヶ丘展望台といえば「Boys be ambitious」で有名なクラーク博士の像。


修学旅行ではここには来なかったが、パンフレットなどで何回も見たあの像を前に、私は興奮していた。


「これがクラーク博士の像かー。握手してくれないかな。いや、サインの方がいいな」


そんなことを言う私を先生は苦笑して見ていた。


しかし、興奮は本日の宿に着いても冷めず、頭の中はずっとクラーク博士でいっぱいだ。


ちなみに本日の宿はブリティッシュな雰囲気のホテル。


ペパーミントグリーンのような色の部屋にダークブラウンの調度品が置かれている。


「Boys be ambitious…か。流星さん、他に名言ってご存知ですか?」


いきなりこんなことを先生が聞いてくる。


言われれば「あー、そうそう」という感じでわかるんだろうが、いきなり聞かれると頭が真っ白になって何も浮かばない。


「えーっと、えーっと…人は四十になる前に土台を作らねばならぬ」


これはかの有名な野口英世の言葉だ。


「先生は他に何か知ってます?」


すると先生は真剣な表情でこう言った。


「君のためにたとえ世界を失うことがあろうとも、世界のために君を失いたくない」
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