夢でいいから~25歳差の物語
-課外終了後-


「はい、じゃあ今日はここまでね。また明日」


まるで青山先生のこのセリフが引き金になったかのように、「待っていました」とばかりにまわりがガタガタと音を立てて動き出す。


「すごくあっけなかった…」


「そうかな」


私のセリフに三七子ちゃんは首をひねる。


「うん。なんかいつも生物って早く終わる感じがする」


「へぇ。あたしは古典が早く感じるな。そうか、好きな教科…つまり楽しい時間はあっという間なんだね」


「そうかも。つまらない時間はすごく長いもんね。嫌いな数学とか英語とか」


「うん」


そうやって時間についての議論のようなものをやっていると、いつのまにか生徒はいなくなっていた。


それに気付いた三七子ちゃんは慌てた様子で時計を見る。


「いけない。あたし、今日は迎えに来てもらっていたんだ。早くしないと怒られちゃう。また明日!」


「わかったー。バイバイ」


三七子ちゃんがいなくなると、青山先生と2人きりになってしまった。


き、気まずい。


「水橋」


しかも青山先生が話しかけてきた。


「は、はいぃ…」


ちゃんと答えようとすると声が震えてしまう。


そんな私を見て目がクエスチョンマークになる先生。


変な人って思われたかな。


「あ、あの…先生」


「ん?」


言っていいのかな。


いつもの私だったらためらうはずだった。


しかし、今は気持ちを抑えることが出来なかった。


「私…先生が好きです」
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