夢でいいから~25歳差の物語
《確かに、皐示さんを苦しませているのはあなたかもしれない》


母の言葉がズキッと突き刺さる。


《でも、それでもきっとあるはずよ。あなたにしか出来ない何かが…ね》


「母さん」


《何も出来なくたっていいじゃない。ただ隣にいて、力づけてあげるだけだっていいじゃない。1人ぼっちよりずっといいもの》


「うん」


《頑張りなさい。何かあったらわたしに言いなさい。出来ることだったらなんでも協力するわ》


「ありがとう」


電話を切った後、私は母に電話をして良かった、と思った。


そして少し息を弾ませながら病院に行く。


しかし、その気持ちとは反対に先生の病室の前では医師達がバタバタしていた。


何があったのだろうか。


「青山さん、落ち着いて下さい!」


そんな声も聞こえた。


「落ち着いて下さい」って、先生が取り乱しでもしたのだろうか。


でも、めったに動じないあの先生が?


ガシャーン!


病室から何かが割れたような音が、まるで空気を切り裂いたかのように響いた。


「奥様ですね!?」


すっかり見慣れた顔の医師が走ってくる。


「は、はい」


勢いに押されつつも、しっかりと返事をする。


「実は先ほど、旦那様が…」
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