夢でいいから~25歳差の物語
-数日後-
私は数日ぶりに先生を訪れた。
「先生」
言いながらドアをノックするも、返事がない。
「失礼します」
開けてみると、誰もいないベッドが目についた。
散歩にでも行ってしまったのだろうか。
とりあえず待っていようと思い、ベッドの横のイスに腰かけた。
「あれ?」
花瓶が置いてあったはずの場所に見知らぬオルゴールがあった。
それは直方体で、ワインレッドを基調に金色で縁取りされていた。
先生が持って来たとも思えないし、誰からかの贈り物だろうか。
先日は割れた花瓶と先生の方ばかりに気を取られていたからわからないが、その前の日に来た時にはオルゴールはなかったはずだ。
とりあえず開けてみる。
ゆっくりだったので最初はわからなかったが、曲名がわかった時、私はぞっとした。
奏でられていたのはシューベルトの魔王。
しかし、魔王のオルゴールは今までに見たことも聴いたこともない。
まさか手作り?
そして私を驚かせたことがもう1つ。
オルゴールの中に入っていたのは、糸のように細くて濃いピンクの花びらがたくさん付いた花。
「えっと、これはアザミ?」
だとしたら、このアザミに込められた意味は一体何?
私はハンドバックからポケットサイズの花言葉図鑑を取り出した。
先生が花言葉を教えてくれた結婚式以来、花言葉に興味を持ったのだ。
「あ、あった。アザミの花言葉は『独立』、『厳格』、『安心』、『満足』、『触れないで』、そして」
そこで思わず私は息を飲んだ。
図鑑を持つ手がカタカタと小刻みに震え始める。
「そして…『復讐』…!」
私は数日ぶりに先生を訪れた。
「先生」
言いながらドアをノックするも、返事がない。
「失礼します」
開けてみると、誰もいないベッドが目についた。
散歩にでも行ってしまったのだろうか。
とりあえず待っていようと思い、ベッドの横のイスに腰かけた。
「あれ?」
花瓶が置いてあったはずの場所に見知らぬオルゴールがあった。
それは直方体で、ワインレッドを基調に金色で縁取りされていた。
先生が持って来たとも思えないし、誰からかの贈り物だろうか。
先日は割れた花瓶と先生の方ばかりに気を取られていたからわからないが、その前の日に来た時にはオルゴールはなかったはずだ。
とりあえず開けてみる。
ゆっくりだったので最初はわからなかったが、曲名がわかった時、私はぞっとした。
奏でられていたのはシューベルトの魔王。
しかし、魔王のオルゴールは今までに見たことも聴いたこともない。
まさか手作り?
そして私を驚かせたことがもう1つ。
オルゴールの中に入っていたのは、糸のように細くて濃いピンクの花びらがたくさん付いた花。
「えっと、これはアザミ?」
だとしたら、このアザミに込められた意味は一体何?
私はハンドバックからポケットサイズの花言葉図鑑を取り出した。
先生が花言葉を教えてくれた結婚式以来、花言葉に興味を持ったのだ。
「あ、あった。アザミの花言葉は『独立』、『厳格』、『安心』、『満足』、『触れないで』、そして」
そこで思わず私は息を飲んだ。
図鑑を持つ手がカタカタと小刻みに震え始める。
「そして…『復讐』…!」