夢でいいから~25歳差の物語
「ひどい時は精神安定剤が必要な時もありました」


「え?!」


あれ?


この声は流星さんと医師か?


「青山さん、様子がおかしいんです。以前、お会いした時はやり場のないストレスと申し上げましたが、それにしてはどこかおかしい」


「そんな」


ああ、俺のことか。


「もしかすると先生は「悪いのは兄貴だ」って言った時、お兄さんに関する嫌な記憶を思い出していたのかも…」


「そうです」


つい言ってしまう。


「青山さん、大丈夫ですか?」


医師が心配してくれるが、俺は口がまた止まらなくなってしまった。


「思い出したい流星さん達のことは思い出せないのに、相変わらず、兄貴のことという忌まわしい過去は覚えているんです」


恐い顔になっているのが自分でもわかる。


「もう忘れたいのに、まだあの記憶は俺に影を落としてくる。あのオルゴールの送り主はきっと過去を知っている。だからこそ『復讐』という花言葉を持つアザミを添えていたんだ」


そこまで言って、2人が困った顔をしているのを見てはっとする。


「すみません、少し感情的になりすぎました」


謝るが、相変わらずマイナス思考になってしまう。


「もう俺は殺されるのかもしれません」


「でもこれってまるで殺人予告じゃないですか。警察に話しましょう」


医師がそう言って立ち上がるが、俺は虚しく微笑んで彼の白衣の裾を引っ張り、制した。


警察なんて信じられない。
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