夢でいいから~25歳差の物語
Secret24 理由
-4月-


「じゃ、行ってきます」


「行ってらっしゃーい」


いつものセリフで先生を送るいつもの朝。


あれから進展はない。


魔王のオルゴールが届くこともなかった。


平和な日々。


「今日は早く帰ってきます」


出かける前に先生に言われたことを思い出す。


まだ春休みな上に、部活(先生は写真部の顧問)もないので今日は午前中で上がれるのだそうだ。


「早く帰ってこないかな」


たった今、見送ったばかりなのにもうそんなことを呟いていた。


今日はバイトがないからな。


わくわくしながら夫の帰りを待つのって、いかにも新婚って感じ。


まぁ、結婚式からすでに8ヶ月ほど経っているのだが。


私は会いたい気持ちをごまかすために朝食の片付けをし、洗濯物を干し、掃除をし、買い物に出かける。


しかし、それも11時を過ぎる頃にはみんな終わってしまった。


そろそろ先生が帰ってきてもおかしくない時間だな。


そんなことを考えていた矢先、玄関から物音がした。


「ただいま帰りました」


「お帰りなさい」


先生が爽やかオーラと共に帰宅。


こっちまで爽やかになれそうだ。


「よし、行きましょう。先生」


「え?」


決めていたの。


今日はあの場所へ先生を連れていくってね。
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