夢でいいから~25歳差の物語
「ここは…」


「ええ、遊園地です」


私達は思い出の遊園地にいた。


先生の行きたがっていた教会も考えたけど、北海道へ行くという話が出る前に私が行きたいと考えていたのがここだという理由で遊園地を選んだのだ。


「私達、前にここに来たことがあったんですよ」


「そうなんですか?」


そう言って首をかしげている。


その姿、なんだかリスみたいだ。


なんて言ったらけらけらと笑われてしまった。


「俺がリスだなんて」


「え、ベリーキュートじゃないですか」


「俺はキュートなんかじゃありませんよ」


恥ずかしそうな先生を尻目に、私はスキップしながら彼を引っ張る。


「よし、お化け屋敷にでも行きましょうか」


「え、そんな」


嫌がる先生を半ば強制的にお化け屋敷に連れていく。


「ぎゃー」


あの時と同じく、大騒ぎする先生。


そのリアクションに私が笑うと、私を怖がらせようとしてお化け役の人が次々と止めどなく驚かしてくる。


本当、まるであの時に戻ったみたいだ。


お化け屋敷で過ごす時間はあっという間だった。


先生はとても長く感じたと言っていたが。


「じゃ、次はあれに乗りましょう。アンリミテッドフリーフォールループコースター」


お化け屋敷を出てそう言うと、やはり一瞬で先生はフリーズしてしまう。


私は笑いながらアンリミテッドフリーフォールループコースターに先生を引きずっていくのだった。


堪忍してね。


あの時と同じようにやらなきゃ意味がないから。
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