夢でいいから~25歳差の物語
「あの、先生」


「はい?」


「白いバラの花言葉は覚えてます?」


「ええ。『私はあなたにふさわしい』と『相思相愛』です」


聞いてから思った。


なぜこんなことを聞いたのだろう。


それはきっとあの時の思い出をたどりたかったからなのかもしれない。


「流星さん」


「はい」


「永遠って、何なんでしょうね」


「永遠?」


確か、北海道に行った時もそんなことを言っていたよね。


「函館では、近くにいた人のイヤホンからもれた音楽がどうとか言いました。しかし、今は違います」


その目は真剣以外の何物でもなかった。


「今、あなたといるこの時間に永遠を感じているんです」


あまりにも真剣なまなざしに、砂糖よりも甘い言葉にクラクラしてしまいそう。


そして何より、世界で一番愛している人がこのようなことを言ってくれるという事実が一番、私の心を揺り動かしていた。


「永遠は…」


カラーン、カラーン。


答えようとしたその時、教会の鐘が鳴る。


先生はまるで鐘の大きな音から私を守るかのようにそっと私を抱き寄せた。


私はそれに応じるように先生に寄りかかり、目を閉じる。


カラーン、カラーン。


先生。


永遠はどういうものだかわからない。


でもね、今が永遠に続いてほしいと思うよ…。
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