夢でいいから~25歳差の物語
「流星」
茹(ゆ)でていたブロッコリーがちょうどいい固さになった頃、いきなり先生が私を呼んだ。
「きゃっ」
驚いたあまり、思わず手に持っていた菜箸を落としてしまった。
ただ呼ばれただけなのに、どうしてこんなに驚いてしまったのかわからない。
「最近、やっぱりお前、おかしいよ」
「そんなことないです」
「いや」
強い口調に思わず振り向くと、先生の目は力を帯びているように見えた。
そのまま見つめることしか出来ない私。
「何かあったのか?」
「ないですよ、何も」
背中を冷や汗がつたう。
ヘビに睨まれたカエルの気分だった。
「なぁ、知っているか?」
私はいつのまにか、背後には壁というところまで追いつめられていた。
先生は恐ろしい目で続ける。
「人間ってさ、嘘をつく時は視線が左上になるんだ。今のお前、まさにそうだった」
「う…」
怒っている様子の先生を前にどうすればいいかわからなくなる。
思考回路がショートしてしまったように思えた。
「俺、お前が心配なんだよ…」
切なげにそう言った先生は、額同士をぶつける体勢になって私を抱きしめた。
お互いの服を通して優しい温もりが伝わってくる。
なのに…。
気付くと私は体をカタカタと震わせていた。
茹(ゆ)でていたブロッコリーがちょうどいい固さになった頃、いきなり先生が私を呼んだ。
「きゃっ」
驚いたあまり、思わず手に持っていた菜箸を落としてしまった。
ただ呼ばれただけなのに、どうしてこんなに驚いてしまったのかわからない。
「最近、やっぱりお前、おかしいよ」
「そんなことないです」
「いや」
強い口調に思わず振り向くと、先生の目は力を帯びているように見えた。
そのまま見つめることしか出来ない私。
「何かあったのか?」
「ないですよ、何も」
背中を冷や汗がつたう。
ヘビに睨まれたカエルの気分だった。
「なぁ、知っているか?」
私はいつのまにか、背後には壁というところまで追いつめられていた。
先生は恐ろしい目で続ける。
「人間ってさ、嘘をつく時は視線が左上になるんだ。今のお前、まさにそうだった」
「う…」
怒っている様子の先生を前にどうすればいいかわからなくなる。
思考回路がショートしてしまったように思えた。
「俺、お前が心配なんだよ…」
切なげにそう言った先生は、額同士をぶつける体勢になって私を抱きしめた。
お互いの服を通して優しい温もりが伝わってくる。
なのに…。
気付くと私は体をカタカタと震わせていた。