夢でいいから~25歳差の物語
Secret28 クレバスの中の愛の証明
でも誰が?


魔王?


それとも別の誰か?


突然すぎて頭が働かない。


体が動かない。


声が出ない。


「前からおかしいとは思っていたが…こういうことだったんだな」


「違います、彼は友達で」


「だったらどうしてこんなに頻繁に会っているんだよ」


写真の隅にはどれも日付がプリントされていた。


7月14日、7月19日、7月25日、そして昨日、7月30日。


「お前が浮気する奴だなんて思わなかったよ」


冷たい。


先生の氷柱のような視線が突き刺さる。


「私…」


確かにこんな写真を見せられたら私を疑うのは当たり前だ。


でも何を言っても信じてくれないなんて。


先生にとって私はそんな程度の存在だなんて。


ひどい。


「先生のバカ!」


そう叫んで私は家を飛び出した。


夜の街を走りながら思う。


もっと冷静になって本当のことを伝えれば良かった。


ただ怒っただけでは単なる逆ギレともとられかねない。


でも帰れないよ。


こんなことをしてしまった以上。


それにいつになく激しく怒る先生が怖かった。


なんだか約5年半前のクリスマスイブに戻ってしまった気分。


あの時も今と同じような気持ちだった。


いや、あの時の方がまだ良かったのかもしれない。


だって今の私は、先生を傷つけてしまったから。
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