夢でいいから~25歳差の物語
Secret32 皐示の決意、悲運の魔王~Side皐示~
「先生、ごめんなさい」
ある休日、妻の流星が帰宅して開口一番にそう言った。
「え?」
俺は突然のことに面食らう。
「疑ってごめんなさい。私、先生を魔王だと思っていた」
「流星…」
「でも信じる。先生は魔王じゃないって」
「どうしてそんなことが言えるんだ?」
「先生が好きだから。それ以外の何物でもないよ」
戸惑ってしまう。
なぜそれだけのことで信じてくれるんだろう。
「ずいぶんと曖昧なんだな。仮に俺が魔王だったらどうするんだ?」
あえて冷たく振る舞ってみる。
本当は愛おしくて抱きしめたくて仕方がないくせに。
「私は信じている。先生が魔王だという決定的な証拠が出ない限り、ずっと」
「…」
彼女の目に迷いの色なんてない。
むしろ自信に満ち溢れたような、まるでダイヤモンドのような繊細で、それでいて揺るぎない輝きを放っていた。
「先生、大好き。一時は疑っていたけど私、もう迷わない。だからずっと一緒にいてほしい」
少し困った後、俺は彼女の頭にポンと手を乗せた。
「流星」
言わなくてはならない。
決めたんだ。
「ごめんな」
「え?」
「魔王の正体は俺なんだ」
「今、何て?」
彼女の表情が驚きの色に支配されている。
「魔王は俺なんだ」
「嘘でしょ?」
「いや、本当だ」
「先生!」
彼女は俺の肩をつかむが、俺は目を反らすことしか出来なかった。
ある休日、妻の流星が帰宅して開口一番にそう言った。
「え?」
俺は突然のことに面食らう。
「疑ってごめんなさい。私、先生を魔王だと思っていた」
「流星…」
「でも信じる。先生は魔王じゃないって」
「どうしてそんなことが言えるんだ?」
「先生が好きだから。それ以外の何物でもないよ」
戸惑ってしまう。
なぜそれだけのことで信じてくれるんだろう。
「ずいぶんと曖昧なんだな。仮に俺が魔王だったらどうするんだ?」
あえて冷たく振る舞ってみる。
本当は愛おしくて抱きしめたくて仕方がないくせに。
「私は信じている。先生が魔王だという決定的な証拠が出ない限り、ずっと」
「…」
彼女の目に迷いの色なんてない。
むしろ自信に満ち溢れたような、まるでダイヤモンドのような繊細で、それでいて揺るぎない輝きを放っていた。
「先生、大好き。一時は疑っていたけど私、もう迷わない。だからずっと一緒にいてほしい」
少し困った後、俺は彼女の頭にポンと手を乗せた。
「流星」
言わなくてはならない。
決めたんだ。
「ごめんな」
「え?」
「魔王の正体は俺なんだ」
「今、何て?」
彼女の表情が驚きの色に支配されている。
「魔王は俺なんだ」
「嘘でしょ?」
「いや、本当だ」
「先生!」
彼女は俺の肩をつかむが、俺は目を反らすことしか出来なかった。