夢でいいから~25歳差の物語
そして会いたくても会えないのは、こんなにもつらいものなのだと思い知らされる。


テレビを付けるとバラエティ番組をやっていて、今の私の気持ちとは反対に明るい笑い声が響く。


《ハハハハハ》


《わははは》


《ゲラゲラ》


こう見ていると、彼らが異世界にいるような感じに思えてくる。


なんだか嫌になってチャンネルを変えた。


すると今度はドラマだった。


《久しぶりだね。改めて告白するわ。章裕先生…あたし、あなたが好きなの》


《俺もだ、永嶋…いや、裕香》


ああ、これは『秘密~遥かなる楽園Season2』というタイトルの小説が原作のドラマだったっけ。


残念ながらSeason1も2も見ていないが。


主演は人気アイドルの星空純一さん。


原作者は小説家の永嶋裕香さん。


そんな感じだったかな。


ワンシーンしか見ていないが、こんなに恋なんて上手くいくはずないのに。


ため息をこぼしながらテレビを消すと、また孤独な沈黙が到来した。


当たり前だけど本当に静か。


また、考えてしまう。


好きな人を忘れる術というものがあったらぜひ教えてほしいものだ。


私も、別の新しい人と付き合ってしまえば先生を忘れられるのかもしれない。


だけどそんなの相手に失礼。


だってそれは好きな人を忘れたいだけであって、相手を想っているわけではないから。


だけど他には何も思いつかなかった。
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