夢でいいから~25歳差の物語
「たぶんさ」


しばらくの沈黙の後、先生はいきなり口を開いた。


「みんな何かの使命を持って生まれてきたんじゃないかな」


「使命?」


「誰かを守るためとか、誰かのそばにいるためとか。それが家族であって、友達であって、恋人である」


先生の言うことが正しいかはわからないが、私はうなずく。


「じゃ、先生の使命って何なのかな」


「もちろんお前を守ることだろ」


「もう!」


照れ屋のくせに先生ったら恥ずかしいことを平気で言うんだから。


この人ってこんなキャラだっけ?


それともキャラ崩壊?


あぁ、せっかくの凛々しく美しいキャラが…って、何を考えているんだ、私は。


まるでただのバカップルみたいだ。


でもそう言ってもらえて嬉しいから私は笑顔でこう言う。


「私の使命だって先生を見張ることなんだから」


「見張る?」


「人間不信を克服したのって大学生の時なんでしょ?なんか、先生が20代の時って超遊んでそう」


「なんだそりゃ」


「女の扱いに手慣れているかは別にして、とにかくモテモテだったでしょ?」


「ひどいな」


「違うの?」


「…」


「ほら」


私は笑った。


否定してほしい気もしたが、私は信じている。


先生がもう誰のところにも行かないと。


心は澄み渡った空のように晴れやかだった。


「大好き、先生」


私は満面の笑みで言った。
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