夢でいいから~25歳差の物語
「ありがとな」
先生の言葉に私はニコッと笑った。
彼の腕の温もりが優しくて、いつまでもこうしていたくなってしまう。
「よし、そろそろ行くぞ」
「え?」
もっとくっついていたいのに。
「今日、仕事なんだよ」
「あっ、私もバイトがあるの忘れてた。やっちまったぜー」
「誰だよ、お前」
キャラが変だぞ、と笑う先生の笑顔が朝日に照らされて、いつもより数倍まぶしい。
私は立ち上がった。
先生も立ち上がる。
「先生」
「ん?」
「お姫様抱っこしてって言ったら怒るかな?」
先生は吹き出した。
「やってやってもいいぞ」
先生の顔は酔っ払いみたいな真っ赤な色をしている。
「嘘だよっ」
本当はやってほしかったけどそう言って笑い、私は走り出す。
「こら、大人をからかうなー」
顔色は酔っ払いのままで先生が追いかけてきた。
私だってもう大人だよ、と心の中で言って階段を駆け下りる。
朝の街に出ると、まるで空気が入れ替わったかのようにすがすがしい。
「よし、今日も1日頑張るぞー」
そうして街を走りながら頭の中では、もし私が美綺さんの立場だったらいったいどうしていただろうか、ともう1度考え始めていた。
-完-
ご愛読ありがとうございました。
引き続きスペシャルエピソード(おまけストーリー。睡蓮と皐示、皐示と美綺の出会い、流星と皐示のその後)&エピローグをお楽しみ下さい。
先生の言葉に私はニコッと笑った。
彼の腕の温もりが優しくて、いつまでもこうしていたくなってしまう。
「よし、そろそろ行くぞ」
「え?」
もっとくっついていたいのに。
「今日、仕事なんだよ」
「あっ、私もバイトがあるの忘れてた。やっちまったぜー」
「誰だよ、お前」
キャラが変だぞ、と笑う先生の笑顔が朝日に照らされて、いつもより数倍まぶしい。
私は立ち上がった。
先生も立ち上がる。
「先生」
「ん?」
「お姫様抱っこしてって言ったら怒るかな?」
先生は吹き出した。
「やってやってもいいぞ」
先生の顔は酔っ払いみたいな真っ赤な色をしている。
「嘘だよっ」
本当はやってほしかったけどそう言って笑い、私は走り出す。
「こら、大人をからかうなー」
顔色は酔っ払いのままで先生が追いかけてきた。
私だってもう大人だよ、と心の中で言って階段を駆け下りる。
朝の街に出ると、まるで空気が入れ替わったかのようにすがすがしい。
「よし、今日も1日頑張るぞー」
そうして街を走りながら頭の中では、もし私が美綺さんの立場だったらいったいどうしていただろうか、ともう1度考え始めていた。
-完-
ご愛読ありがとうございました。
引き続きスペシャルエピソード(おまけストーリー。睡蓮と皐示、皐示と美綺の出会い、流星と皐示のその後)&エピローグをお楽しみ下さい。