夢でいいから~25歳差の物語
Special episode 春-新緑の出会い(睡蓮36歳、皐示40歳)
~Side睡蓮~
-5月上旬-
「あー、授業参観遅れちゃう」
わたしは水橋睡蓮。
夫の健一郎さんとは離婚し、今ではシングルマザー。
今日は高校1年生になった1人娘の流星の授業参観。
だけど色々準備に手間取ってしまい、まさに遅刻しそうな状況。
新緑がまぶしい街をスーツ姿で走り抜ける。
校門を抜け、昇降口も抜け、靴を脱いだらまた走る。
こんな時はろくなことがない。
ドンッ。
案の定、誰かにぶつかってしまった。
「すみません」
「いいえ、お気になさらないで下さい」
慌てて頭を下げると相手はそう言ってくれた。
なんて凛とした声なんだろう。
そう思いながら顔を上げて、わたしはあっと声を出しそうになった。
なんて綺麗な人なの。
それが第一印象だった。
髪はキラキラと美しく、すらりとした背丈。
まったく無駄がない体つきに、知的な顔立ち。
「あの、どうか致しましたか?」
彼の銀縁のメガネ越しの水晶のような瞳がわたしをとらえる。
それだけで胸が高鳴りそうだった。
「すみません、あなたは?」
って、何を聞いているのだろう、わたしは。
「名前は青山皐示。ここの学校で生物を教えている者です」
優しく微笑み、彼は去っていった。
アオヤマコウジ。
その名前をしっかり胸に刻み込んで、わたしは教室にまた走り出すのだった。
-5月上旬-
「あー、授業参観遅れちゃう」
わたしは水橋睡蓮。
夫の健一郎さんとは離婚し、今ではシングルマザー。
今日は高校1年生になった1人娘の流星の授業参観。
だけど色々準備に手間取ってしまい、まさに遅刻しそうな状況。
新緑がまぶしい街をスーツ姿で走り抜ける。
校門を抜け、昇降口も抜け、靴を脱いだらまた走る。
こんな時はろくなことがない。
ドンッ。
案の定、誰かにぶつかってしまった。
「すみません」
「いいえ、お気になさらないで下さい」
慌てて頭を下げると相手はそう言ってくれた。
なんて凛とした声なんだろう。
そう思いながら顔を上げて、わたしはあっと声を出しそうになった。
なんて綺麗な人なの。
それが第一印象だった。
髪はキラキラと美しく、すらりとした背丈。
まったく無駄がない体つきに、知的な顔立ち。
「あの、どうか致しましたか?」
彼の銀縁のメガネ越しの水晶のような瞳がわたしをとらえる。
それだけで胸が高鳴りそうだった。
「すみません、あなたは?」
って、何を聞いているのだろう、わたしは。
「名前は青山皐示。ここの学校で生物を教えている者です」
優しく微笑み、彼は去っていった。
アオヤマコウジ。
その名前をしっかり胸に刻み込んで、わたしは教室にまた走り出すのだった。