夢でいいから~25歳差の物語
非常階段を駆け下り、特別校舎に行ってみた。


特別校舎は、生物室や美術室、保健室や家庭科室などといった教室が集まっている校舎だ。


ここにはまだあのお面の集団は来ていないらしく、窓が割れていなければ、ポスターも破られていなかった。


ただ、知らせを受けたらしく、生徒達は避難したりトイレの個室に隠れたりしているようだ。


私は地学室の辺りまで来た時に、窓越しに自分の教室を見た。


しかし、私は目がとても悪いのでメガネをかけていても見えなかった。


先生、大丈夫かな。


その時、ふと約4ヶ月前のことを思い出した。


クリスマスイブの課外の日に見た新聞。


あれに書かれていた謎の集団とはまさしく今、私の学校、銀星高校を脅かしているお面の彼らなのではないのか。


寒気が走る。


彼らはこんなことをして何が楽しいのだろう。


結局は自分の人生の汚点となってしまうだろうに。


そう考えている間にも、悲鳴や物が破壊される音が遠くから聞こえてくる。


一瞬、夢のようにも思えたが、焦燥がリアルすぎてそんな考えは消えた。


先生がケガしていたらどうしよう。


確か相手は5人くらいだった。


「…!」


私は自分の教室に戻るために走り出した。


「先生、無事でいてよ!」
< 29 / 369 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop