夢でいいから~25歳差の物語
気がつくと、日は完全に暮れていた。


部屋の中は、近くに街灯がなければ真っ暗だっただろう。


雨はまだザーと音を立てていた。


腕の中を見ると、源氏が寝息を立てている。


彼女の小さな肩が一定のリズムで動いていた。


ふと、雷に打たれたように我にかえった。


そうだ。


俺達は禁忌を犯してしまった。


教師と生徒が恋愛関係にあり、同じベッドで寝ている。


合意の上だとしても、身体的に結ばれていなくても、それは明らかに倫理的にまずいことだ。


なぜここまでやってしまったのだろう。


それは時間が俺達の関係を許しているうちに、彼女のすべてを記憶しておきたかったからだ。


なのに今、心の中にあるのは後悔だった。


幼い少女、しかも自分の生徒とデートした挙げ句に家でキスして共に寝た。


そのことは俺だけでなく彼女をも苦しませる。


きっと一生、影のようにそれはついてまわるんだ。


それだけじゃない。


自分の不甲斐なさに嫌気がさしていた。


彼女を幸せになんか出来ないというのに、好きという気持ちに任せてこんなことをした。


ふざけんな、バカが。


なんて無責任な奴なんだ。


俺は自分をなじった。


いい年した大人なら、最初から源氏のために恋心を拒んであげるべきではなかったのか。


彼女には今、申し訳なさでいっぱいだった。


たまらず涙が落ちる。


「源氏、好きになって、こんなことしてごめんな」


彼女は寝息を立てているだけだ。


「守れなくて、幸せに出来なくて…」


俺の声はかすかな雨の音に消されていくだけだった。


※秋-落葉の偽りに続く
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