夢でいいから~25歳差の物語
~Side皐示~


翌日。


頭がガンガンと響くように痛い。


昨夜はほとんど眠れなかった。


昨日の倉島の言葉がリフレインする。


その時の彼女はまるでセーラー服を着た悪魔のようだった。


もちろん、生徒のことをこんなふうに言いたくない。


しかし、彼女のセリフを思い返すたびにまるでカミソリで背中を撫でられているかのように鳥肌が立つ。


どんな顔で源氏に会えばいいんだ。


昨日の俺の態度を彼女は不審に思ったに違いない。


「青山先生」


「…」


「青山先生!?」


「は、はい」


名前を呼んでいた同僚の沼賀先生が訝しがる。


「どうしたんですか?ボーッとして」


「いえ」


頭の痛みをこらえ、なるべくポーカーフェイスを保ちながら答える。


そうして他のことを考えているはずなのに、やはり源氏と倉島の顔が頭にちらつく。


畜生。


いつも俺は恵まれていない。


青春は闇よりも真っ暗だった。


実の両親はこの年齢(とし)になっても音沙汰がない。


そうして今度はやっと見つけた心の支えを…。


これが俺の宿命なのか?


こんな調子で死ぬまで生きていかなくてはならないのか?


沼賀先生が投げかけてくる言葉は右の耳から入って左の耳へ抜けていった。
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