夢でいいから~25歳差の物語
でもこの時からだ。


青山先生を意識し始めたのは。


何を言ってもほとんど動じないことから、私や友達は彼を裏で『POKER FACER』と呼ぶことにしたが、この文化はすぐに廃れたとか廃れなかったとか。


そんなこんなで結局、修学旅行はほとんど先生達の話で盛り上がって終わってしまった。


『せっかく遠くまで行ったのに』と思う反面、『思いきり楽しめたからいいかな』とも思うからこのことはあまり問題にしない。


それから約2ヶ月の時が流れた。


そろそろ通学にはマフラーがほしいくらいになってきた頃。


私達の学校は2学期制なので中間テストが近づく11月25日。


生物の授業中、私は突然雷に打たれたように気付いてしまった。


青山先生を目で追っていたことに。


そしてテストが終わる12月3日の翌日の授業まで彼に会えないとわかった時、胸の奥が苦しくなったことに。


そして自分の気持ちに。


そう。


いつのまにか、私は青山先生に好意を抱いてしまったのだ。


その時から、私にはどんなに親しい友達にも言えない秘密が生まれた。


地味だけど性格は単純で、友達といる時はよく騒ぐ私が不覚にも、生物の教師に恋に落ちたのだ。


私は無意識に、今年の7月に亡くなった叔父と青山先生の姿を重ね合わせていたのかもしれない。


青山皐示、42歳。


私の恋の相手。
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