夢でいいから~25歳差の物語
「あーあ、気になるな」


休憩中、私は回転椅子に座ってぐるぐるまわりながら独り言を呟いた。


先生のことをやたらに知りたがる友里さん。


まさか先生に惚れたとか?


そしたら、わぁ、どうしよう。


友里さん、美人だし優しいし仕事がとっても出来るし。


勝ち目ないじゃない、私。


そうして色々と邪推しては落ち込むのであった。


家で先生の愛情を試してみたりなんかもした。


先生は変わらず私を愛してくれたけど、ネガティブ思考でなおかつ自分に自信が持てない私は不安になってしまった。


そうして、ついには先生と友里さんを会わせないように画策するのであった。


友里さんが少しでも先生の話をすると、不自然ではない形で別の話題を持ち出したり、先生には極力友里さんの話をしなかった。


しかし、そんな努力じみた行為もむなしく先生を友里さんに会わせてしまう出来事が起きたのである。


しかも自分のせいで。


ある寒い日、私はケータイを家に忘れてきたことに気付いた。


まだ仕事が始まらないのをいいことに、私は近くの公衆電話で先生のケータイにかけた。


今日は土曜日だけど、先生は休みだ。


「もしもし?」


「もしもし、流星です。先生、お願い!」


「どうした?」


「ケータイ、家に忘れちゃったみたいなんだけど、ないかな?」
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