夢でいいから~25歳差の物語
そうしていつのまにか私は眠っていた。


目が覚めた時、まず目に飛び込んできたのは電気の消えた蛍光灯だった。


「!?」


思わずガバッと飛び起きる。


外はやはり真っ暗だったが、吹雪はやんでいた。


そしてなぜかベッドに寝かされている。


静かな暗闇に包まれてしばらく私はぽかーんとしていた。


山小屋に迷い込んだのは夢?


直後、その考えを否定する。


夢なんかじゃない。


確かに私は屋敷を抜け出して…。


え、屋敷?


まさかと思い、ベッドから抜け出して部屋のドアを開けた。


似たようなドアがずらりと並ぶ見覚えのある風景。


清川家の屋敷だった。


「あ、気がついた?」


ちょうどのタイミングで白衣を翻してみずきさんがやって来る。


「あの~、私は」


「あなたが突然いなくなるから救助隊を呼んだのよ。山小屋で寝ていたんですって?」


「ああ、確か道に迷って山小屋で休憩して…」


その後の記憶がない。


頭の中に白紙が差し込まれたみたいに全然思い出せなかった。


「まぁ、ケガもないみたいだし良かったわ」


「あ、そうだ。先生…じゃなくて夫は?青山皐示はまだ見つかっていませんか!?」


私はみずきさんの白衣をつかんで必死になって聞いた。
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