夢でいいから～25歳差の物語

「姉は言っていたわ｡「流星ちゃんの旦那さんが…」」


その時､みずきさんの言葉を遮るようにパーテーションの向こうから友里さんが現れた｡


「姉さん｡起きていたの?」


彼女は目を丸くして質問を投げかけるしっかり者の妹の質問には答えず､代わりに頼りない表情のバイト先の後輩に目を向けた｡


「流星ちゃん｡ちょっと話を聞いてほしいの」


そう言って彼女は私を引っ張って､早朝の静かな屋敷の廊下を歩き出す｡


「は､はい」


戸惑いながらも意味ありげな顔の先輩の後に付いていく｡


「わたし､あなたに謝らなきゃいけないことがあるの」


彼女はいきなり切り出した｡


「謝らなきゃいけないこと?」


「わたしが流星ちゃんの旦那さんに…」


その時､友里さんと先生の抱擁シーンがやけに鮮明に思い出されて､私は思わず耳をふさぐ｡


「ごめんなさい｡青山さん､わたしが大好きだった人にものすごく似ていたの」


「えっ?」


思わず顔を上げた｡


彼女が自分の恋について話すのを初めて見たのだ｡


「わたしが16歳の時､彼は43歳だった｡でも付き合って3ヶ月した頃…あの人は自殺した」


「えぇ!?」


「残されるわたしの気持ちも知らないであの人は…」


ぽろぽろと涙を落とす友里さんを私はただ困った顔で見るしかなかった｡