夢でいいから～25歳差の物語

「おはようございます」


「おはよう」


翌日､私はいつもの通りバイトに出かける｡


友里さんは相変わらずの様子だった｡


まるで昨日のことが嘘のように｡


「あの…」


「なに?」


いつもと変わらない笑顔｡


「いえ､なんでもありません」


あまりに変わらなさすぎて､言えない｡


その笑顔を壊したくない｡


でも､その笑顔の裏には夜の海のように暗く深い悲しみがあることを私は知っている｡


もしかしたら知っているからこそ､触れてはいけないのかもしれない｡


「ねぇ､流星ちゃん」


友里さんの声が頭上から降ってくる｡


「はい」


友里さんが先ほどの笑顔とは一転､真面目な顔になったので私は思わず身構えた｡


「わたし､ここのバイトをやめようと思うの」


「え､そんな!」


私は思わず大声を出した｡


「今までは家にお金があるからってずっとここのバイトをしてきたけど､もうやめた｡わたしがここにいる限り､わたしは変われない」


私は彼女の言っていることがわからずに目をぱちくりさせた｡


「あれから色々考えて思ったの｡大切な人を思うのもいいけど､前に進まなきゃいけないんだって」


友里さんがそう思う理由は彼女の次の言葉でわかった｡