夢でいいから~25歳差の物語
「…」


衝撃的な内容に私は言葉を失った。


文面からして青山章嘉、青山楓という人は明らかに先生の本当のご両親だ。


先生もしばらく黙り込んでいたが、いきなり立ち上がったと思うと、信じられないというように叫んだ。


「なんで!」


本当になんでだろう。


幼かった先生を置いて彼らは死んでしまったというのか。


「おふくろは手紙を置いて逃げたって言ってたのに…」


「先生を傷つけないために嘘ついたんじゃないの?」


「そうかな」


「うん。きっとそうだよ。それにこの手紙だけじゃまだ亡くなったとも断定出来ないと思うし」


暗い顔の先生を前に、出来るだけ良い方向に話を持っていこうと試みる。


「流星」


「ん?」


「明後日は仕事ないから親父の家に行ってくる」


もしかして…。


「お義父さんやお義母さんに問い詰めるつもりなの?このこと」


私の問いに先生は何も答えなかった。


ただ古い手紙を見つめていただけ。


きっと迷っているんだろう。


問い詰めたところで何も変わらない。


だけど、確かめずにはいられないんだ。


「あいつらもあいつらだ。勝手に自分達だけ死んでいくなんて…」


先生が吐き捨てたその言葉を聞いて、私は何も言うことが出来なかった。
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