夢でいいから~25歳差の物語
その封筒の宛名は青山栄作様とあった。


「お義父さん宛ての手紙でしょ。何変な顔してるの?」


私が笑っても先生の表情は硬い。


眉間には深い皺が刻まれている。


「消印は1976年か。ずいぶん古いなあ。今が2016年だから30年も前じゃない」


「流星、裏を見ろ」


私は先生に言われるがままに封筒をひっくり返した。


差出人の名前は…。


「青山章嘉、楓…ってえぇ!?」


ちょっと待って。


一昨日、私達が見た1966年の手紙には「もう生きる資格なんてありませんよね」とか「責任は私達が取ります」とか書かれていたはず。


「どうなってるんだ?」


少なくとも、あの遺書ともとれるような手紙を残した時点で彼らは死んでいなかった。


そして、その後少なくとも10年間は生きている。


まさか…。


思わず先生と顔を見合わせる。


「もしかして、先生のご両親は今も生きてるかもしれない…?」
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