夢でいいから~25歳差の物語
「…ということなんだが」


お買い物から帰ってきたというお義父さんとお義母さんに、先生は今までのいきさつを洗いざらい話した。


「俺が高校時代に聞いた時、行方不明だって言ってたよな?ずっとあいつらと連絡取ってたのか?」


「…その通りだ」


口を開いたのはお義父さんだった。


「だったらなんでそう言ってくれなかったんだよ?!」


「兄さん(章嘉)達に言われていたのよ」


今度はお義母さんが言う。


「何を?」


「もう、皐示には会わないって」


何、それ。


彼らは先生を捨てたってことなの?


「それでも一段落したら会うべきだって言ったら泣いて頼まれたわ。もう合わせる顔がないからって」


おかしいよ。


「だったら合わせる顔がなくなるようなことするなよ。親父達もそうだ。俺よりあいつらの気持ちを優先したってことじゃないか」


「だったら、お前は会いたかったのか?」


お義父さんの言葉に、先生の表情が一瞬にして固まった。


「え?」


「お前は今日という日まで会いたいだなんて一言も言わなかった」


「それは行方不明だって聞かされてたから」


「憎んでいたんじゃないか?」


そこまで言われた先生の目は頼りなく泳いでいた。
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