夢でいいから~25歳差の物語
Secret1 Unlimited mind
梅雨のようにうっとうしくて、悪魔のようなテストからようやく解放された12月3日の放課後。


「やっと終わったー」


「どっか寄ってから帰る?」


「私、久々にカラオケ行きたい!」


「俺は帰ったらゲーム三昧だな」


「俺もだ」


「昼飯どこかで食べようぜ」


そんなセリフが飛び交っている。


確かにテストがすべて終わった後の解放感は、言葉では言い表せないものがある。


私も家に帰ったらとにかくのんびりしたいな。


最近、私はどこかに出かけるよりも家で寝ている方が好きになってしまっていた。


「流星ちゃん、帰ろう」


友達の安井三七子(やすい みなこ)ちゃんが寄って来る。


「うん」


明日は青山先生の授業だ。


三七子ちゃんと話していても、頭の中ではそんな眩しい現実が常に渦巻いている。


階段を降り、職員室の前を通ると、なんと青山先生の姿が見えた。


ブランクはたったの1週間なのにずいぶん久しぶりな気がする。


ひどく懐かしさを覚えた。


おそらく1年ぶりだと言われても信じてしまうだろう。


心臓が急に早く稼働を始める。


なぜ、青山先生を好きになったのかは正直わからない。


彼の外見は、身長は推定170代、白髪とは無縁で42歳とは思えない綺麗な黒髪、顔は長くもまんまるでもない輪郭で、30代半ばと言ってもバレないだろう。


そしてちょっとお洒落というか、なんとなく高級感の漂うシルバーのフレームのメガネをかけている。


誰が何と言おうと「銀縁」ではなく「シルバーのフレーム」なんだと私は一生言い張り続ける予定だ。


とにもかくにもそのせいか、それとも端正な顔立ちのせいかはわからないが、知的な雰囲気が出ている。


性格はかなりクール。


四字熟語で表せば『冷静沈着』。


だから爆笑したのを見た時はまるで、さりげなく押し入れを開けたら動物が飛び出してきた時くらい驚かされた。


例えはかなりおかしいが、本当にそんな気分だった。


と、まぁ色々言ってきたが、だいたいこんな感じだろうか。
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