夢でいいから~25歳差の物語
-夜-


「じゃ、おやすみ。安美、流星」


「うん。流星、陸」


「おやすみー」


私達はそれぞれベッドにもぐり込んだ。


安美と陸の2人はまもなく寝息を立て始めたが、私は眠れずにいた。


このホテルは修学旅行の時にも泊まった場所だ。


嫌でもあの時の思い出が映画のコマのように次々と流れていく。


1日目、初めての飛行機に乗って耳の弱い私は耳を痛めてふらふらしながら降りた。


その時、青山先生が「気圧の関係だろう」と言って気圧について語ってくれたけど、あまりの痛さにまともに聞けなかった。


その後、函館の街を散策し、夜には函館山から無数の光と夜の闇が織りなす素晴らしい夜景を眺め、感嘆した。


2日目、北海道についてアイヌの人からためになる話を聞いた。


夜は友達とテレビを見て大騒ぎして。


青山先生の「あーそうか」が飛び出したのもこの日だ。


3日目、体験学習で私は革細工を体験し、その後に札幌の街を歩き回った。


テレビ塔や札幌市時計台など有名なスポットを見回った。


4日目、小樽での班別行動。


絶え間なく優しい音色に包まれていたオルゴール館が印象に残っている。


何もかもが楽しすぎて帰りは憂鬱だったんだよね。


そんな感じで私はしばらく追懐にふける。


窓の外では夜だけが静かに更けていった。
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