夢でいいから~25歳差の物語
-翌朝-


プルルルル…


ナイトテーブルの上の電話が放つ呼び出し音が私の目を覚まさせた。


モーニングコールだ。


それでも寝ぼけた頭の私は、フロントかどこかからの電話かと思ったので受話器を取って


「はい」


と真面目に答えてしまった。


《おはようございます。起床の時間です》


意外にも、弾むような明るい声のアナウンスが耳に飛び込んでくる。


それを聞いて私は真面目に電話に応答してしまったのが恥ずかしくなった。


「ふあー、おはよう。流星」


のそのそと陸が起きてきた。


「おはよう」


私達が朝の挨拶を交わしている間も安美は起きる気配がない。


「電話、あんなにうるさく鳴ったのに、安美ったらまだ寝ているわ」


同じことを考えていたらしく、陸が半ば呆れ気味に安美の布団の膨らみを見ながら言う。


「本当だね」


「まったく。3人の中で安美が一番早く眠りに落ちたのに」


「うんうん」


私がそう言った瞬間だった。


「フフフ…」


変な笑い声が聞こえてきた。


「だ、誰!?」


陸が叫んだが、返事がない。


「流星…今の気のせいじゃないよね?」


彼女の顔は青ざめている。


「うん。たぶんね」


「お、おば、おばけだぁー!!」


陸のヒステリックな叫び声が早朝のホテルに響き渡った。
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