夢でいいから~25歳差の物語
-翌日-
私はシルバーの車体にラインの入った電車に揺られていた。
ケータイが示した時刻は11時8分。
出かける前に母に「これから帰る」と連絡を入れたが、それにしても緊張する。
先生がいるから。
「恋心を失っていないうちに会わなくてはならないから」というのもあるが、「しばらく会ってないから気まずい」というのもある。
そんな複雑な気持ちだけど、白いカーディガンに、青いタータンチェック柄のキュロット、黒タイツという私にしては可愛い服装をつい選んでしまった。
先生に見られるなら少しでも良い格好でいたいから。
先生…。
こぼれてきそうな気持ちをまぎらわせるように深呼吸してから、時刻表に目を通した。
この電車に揺られるのもあと1時間くらいかな。
暇だし、緊張を忘れたかったのでひとまずベージュのハンドバッグからゲーム機を取り出してやり始めた。
しばらくしてそれに飽きると今度は国文学科の性分だろうか、詩を頭の中で作ろうと試みた。
しかし、ピンとくるものが思いつかないのであえなく断念した。
そうこうしている間に電車は目的地の名前を告げていた。
ハンドバッグを手にして、ドアが開くと同時にホームに降りる。
人影はまばらだった。
と言っても閑散としているわけではないし、だからといって賑やかなわけでもない。
つまり中途半端だ。
ただ、どこか懐かしい匂いがした気がした。
「ただいま」
そっと呟いてホームの階段を降り、改札口をくぐり、駅を出た。
見なれた景色、変わらない空。
それらがただ広がっていた。
私はシルバーの車体にラインの入った電車に揺られていた。
ケータイが示した時刻は11時8分。
出かける前に母に「これから帰る」と連絡を入れたが、それにしても緊張する。
先生がいるから。
「恋心を失っていないうちに会わなくてはならないから」というのもあるが、「しばらく会ってないから気まずい」というのもある。
そんな複雑な気持ちだけど、白いカーディガンに、青いタータンチェック柄のキュロット、黒タイツという私にしては可愛い服装をつい選んでしまった。
先生に見られるなら少しでも良い格好でいたいから。
先生…。
こぼれてきそうな気持ちをまぎらわせるように深呼吸してから、時刻表に目を通した。
この電車に揺られるのもあと1時間くらいかな。
暇だし、緊張を忘れたかったのでひとまずベージュのハンドバッグからゲーム機を取り出してやり始めた。
しばらくしてそれに飽きると今度は国文学科の性分だろうか、詩を頭の中で作ろうと試みた。
しかし、ピンとくるものが思いつかないのであえなく断念した。
そうこうしている間に電車は目的地の名前を告げていた。
ハンドバッグを手にして、ドアが開くと同時にホームに降りる。
人影はまばらだった。
と言っても閑散としているわけではないし、だからといって賑やかなわけでもない。
つまり中途半端だ。
ただ、どこか懐かしい匂いがした気がした。
「ただいま」
そっと呟いてホームの階段を降り、改札口をくぐり、駅を出た。
見なれた景色、変わらない空。
それらがただ広がっていた。