夢でいいから~25歳差の物語
その後、私と先生はたびたび連絡を取り合った。


メールが大半だったけど、時々電話がかかってきて先生の声を聞いて安心したり、ドキドキしたり。


そんな状態が4ヶ月以上続いた頃だ。


先生が「たまには会いたい」と言ったのは。


夏休みだったので私はドキドキしながらもOKした。


そして明日、先生がこちらに来ることになったのである。


電話を切った直後の心臓は、まるで存在をアピールするかのように大きく脈打っている。


顔は熱を発し、鏡を見ると頬がほんのり染まっていた。


とりあえず私は明日の服装を考える。


「これと、これと…これでいいかな」


ざっと見当をつけると、今度は気持ちを落ち着かせるために体操を始めた。


「1、2、3、4。2、2、3、4…」


真夏の昼下がり、部屋で1人で変に張り切って体操をする人間…。


実に滑稽だ。


いくら1人とはいえ、そんなことを考えて恥ずかしくなったのでわずか9秒で終わりにした。


こういう時はかき氷を食べるに限る。


我ながらわけのわからないことを考えつつ、私は白くて四角い何の変哲もない冷凍庫から、小さめの市販のかき氷を取り出した。


妄想が趣味な人間だからだろうか、突然、先生がこれを笑顔で食べる映像が頭に浮かぶ。


はっきり言って、かわいかった。


そして少しニヤニヤしながらかき氷を食べ、明日に向けて色々と妄想をする私。


そんなことをしていても時間はいつもと変わらないペースで経ち、すぐに明日が来てしまうのだった。
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