夢でいいから~25歳差の物語
「先生、次はあれ乗りましょうよ!」


「嫌だ」


「なんで」


「疲れた」


そう言って近くにあった青いベンチに座る先生。


私達は近くの遊園地に来ていた。


久しぶりに来たので私はかなりはしゃいでいたが、先生は私に振り回されてぐったりしているようだ。


仕方なく私は先生の隣に座った。


遠くからジェットコースターのゴオーという音と、キャーという派手な悲鳴が混ざり合って飛んでくる。


子供の笑い声などもあちこちから聞こえた。


ふと思った。


他人の目から見たら、今の私達はどう映っているのだろう。


親子?


叔父と姪?


教師と生徒?


それとも…恋人?


それを考えた時、急に頭の中に強い陽射しが差し込んだような気がした。


この時だけは周囲の目が気にならなくなり、私は思わず先生の手を握ってしまった。


先生は拒まない。


ただ戸惑った顔色を隠せずにいた。


それを見て急に、こんなことをした自分が恥ずかしくなり、慌てて手を離す。


「…すみません」


「いや」


「行きましょうか」


「そうだな」


私達はやけに短い言葉を交わしてそそくさと立ち上がった。


近くにあった至ってシンプルなデザインの時計を見ると、すでに昼下がりだった。
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