夢でいいから~25歳差の物語
「わー!」


「あっはっはっ」


2人ともハンバーガーとコーヒーという簡単な昼食を済ませた後は、お化け屋敷に行った。


っていうか先生、いくらなんでも怖がりすぎでしょ。


さっきから私の横で絶え間なく「わー!」だの「ぎゃー」だの騒いでいるんだもの。


おかげでお化け役の人も苦笑いだ。


私はお化け屋敷はそれほど得意なわけではない。


しかし、先生のオーバーなリアクションに爆笑してしまう。


それがお化け役の人にお化け屋敷が得意だと思わせているらしく、集中攻撃をされる。


そのたびに隣にいる先生が騒いで私が笑って…という具合だ。


お化け屋敷を出た時は、先生は疲れ果て、私は笑いすぎて腹痛を起こしていた。


「水橋、ちょっと…休憩させてくれ…」


今にも魂が抜けてしまいそうな声で頼んでくる先生。


「いいですけど」


そんなわけでまたベンチに5歳ほど老けたような顔の先生と座った。


海から吹く風が火照った心を冷ます。


そのうち、先生もだんだんと顔色が良くなってきた。


それを見計らい、私は立ち上がる。


「じゃ、行きましょうか。先生」


「え?どこへ?」


「アンリミテッドフリーフォールループコースター(この遊園地の目玉でもある巨大ジェットコースター)」


「…!!」


真夏の陽射しの下、先生の表情が一瞬にして凍りついた。
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