夢でいいから~25歳差の物語
-自宅-


私は家に帰ってベッドに横になった。


と、言っても別に体調が悪いわけではない。


現実から逃げて1人の世界に入りたかっただけである。


青山先生はミステリアスな人だ。


彼については、42歳ということと独身ということしか知識がない。


橋場先生なら色々知っているんだけれどなぁ。


45歳で既婚者で野球が好き(見る専門。ちなみに巨人ファン)で運動音痴。


娘さんが2人で中学3年生と小学6年生。


息子さんは1人で小学5年生(野球をやっている)。


住んでいるのはこの銀星高校がある町の隣町。


好きな色は青。


丸1年以上関わっていると、これくらいのことはわかる。


青山先生についての知識の量と比べるとずいぶん違う。


好きな人のことをもっと知りたいと思うのは、普通かもしれない。


確かに知りたい。


何もかも知りたい。


しかし、今の私の心はいつもと何かが違っている。


親子ほど年齢の差がある人にドキドキしてしまうのだから。


いつからだろう。


以前の私は、同級生や大学生くらいのお兄さんを好きになっていた(無論、かなり年上の人間に好意を寄せることが異常とは思わないが)。


なのに今の私は…。


俗に言うファザコンでもないのに。


私は初めての体験に戸惑っていた。


テレビではよく、愛があれば年齢の差なんて…とか言っている。


だけど実際は違う。


まわりからどう思われるかと思うと怖い。


そんな感情が心を侵蝕する。


それに私達は両思いじゃない。


しょせんは私の独りよがりでしかないのだ。


愛なんていうものなど、ここには存在しない。
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