夢でいいから~25歳差の物語
とりあえず中へ通され、お茶を出してくれた。
「びっくりしたわ。流星、いつも連絡をくれてから来るじゃない?」
「う、うん…」
「まぁ、いいんだけど。それより昨日は本当にごめんなさい」
しおらしく謝る母。
「い、いや。私こそ。本題だけど母さんは先生がまだ好きなんだよね?なのにどうして私を怒らなかったの?どうしてあの街に来ていたの?」
疑問ばかりが口をついて出る。
「あの街には流星をびっくりさせようと、連絡もなしであなたのマンションに向かう途中だったの。あなたと皐示さんを見た時は、怒りより驚きの方が何倍も大きかったわ。だから混乱して、皐示さんにあんなこと…」
つらそうな表情の母。
「わたし、まだあの人への未練が残っているの。自分から別れを切り出したくせに情けないわよね」
虚ろな目で私を見る。
「ごめんね…」
私は謝った。
そんな私を母は困った顔で見ていた。
絡み合う私と母と先生の愛の螺旋。
それは悲しい気持ちを生み出し、私達をがんじがらめにする。
「…さい」
ふいに母が言った。
「え?」
「幸せになりなさい、皐示さんと」
「何を言って…」
「皐示さんを支えていけるのはわたしなんかじゃない。流星、あなたよ」
「でも」
「わたしはあの人に迷惑も色々かけたし、悲しい思いもさせた。でも昨日、皐示さんはあなたといてすごく楽しそうだったわ」
「母さん」
「わたしのことはいいから」
「それでいいの?」
「あなたは若いんだから。遠慮しないで愛に生きなさい」
「…ありがとう」
私がそう言うと、母はにこりと微笑む。
それはまるで束縛か何かから解き放たれたような表情だった。
そしてしばらくして私は実家を後にした。
母の言葉に感謝しながら。
彼女は自分の幸せより娘の幸せを考えてくれたんだ。
私には見えていなかった。
浮かれていたから気付いていなかった。
この先に口を開けて私達を待ち受ける黒い闇の存在に…。
「びっくりしたわ。流星、いつも連絡をくれてから来るじゃない?」
「う、うん…」
「まぁ、いいんだけど。それより昨日は本当にごめんなさい」
しおらしく謝る母。
「い、いや。私こそ。本題だけど母さんは先生がまだ好きなんだよね?なのにどうして私を怒らなかったの?どうしてあの街に来ていたの?」
疑問ばかりが口をついて出る。
「あの街には流星をびっくりさせようと、連絡もなしであなたのマンションに向かう途中だったの。あなたと皐示さんを見た時は、怒りより驚きの方が何倍も大きかったわ。だから混乱して、皐示さんにあんなこと…」
つらそうな表情の母。
「わたし、まだあの人への未練が残っているの。自分から別れを切り出したくせに情けないわよね」
虚ろな目で私を見る。
「ごめんね…」
私は謝った。
そんな私を母は困った顔で見ていた。
絡み合う私と母と先生の愛の螺旋。
それは悲しい気持ちを生み出し、私達をがんじがらめにする。
「…さい」
ふいに母が言った。
「え?」
「幸せになりなさい、皐示さんと」
「何を言って…」
「皐示さんを支えていけるのはわたしなんかじゃない。流星、あなたよ」
「でも」
「わたしはあの人に迷惑も色々かけたし、悲しい思いもさせた。でも昨日、皐示さんはあなたといてすごく楽しそうだったわ」
「母さん」
「わたしのことはいいから」
「それでいいの?」
「あなたは若いんだから。遠慮しないで愛に生きなさい」
「…ありがとう」
私がそう言うと、母はにこりと微笑む。
それはまるで束縛か何かから解き放たれたような表情だった。
そしてしばらくして私は実家を後にした。
母の言葉に感謝しながら。
彼女は自分の幸せより娘の幸せを考えてくれたんだ。
私には見えていなかった。
浮かれていたから気付いていなかった。
この先に口を開けて私達を待ち受ける黒い闇の存在に…。