夢でいいから~25歳差の物語
「あー、緊張した!!」


「ハハハ」


出されたお茶の味もわからなくなったほどの緊張から解き放たれて先生の車の中で思わず叫ぶと、先生が笑い出した。


先生のご両親はガチガチになっている私の緊張を解きほぐそうと色々な話をしてくれて、とても良い印象。


趣味は盆栽という青山栄作(あおやま えいさく)さん(70歳)が先生のお父さん。


梔子(くちなし)色のような和服を着ていたのが印象に残っている。


そして茶道をたしなんでいらっしゃるのは青山紅葉(あおやま もみじ)さん(69歳)で先生のお母さん。


彼女は白梅の落ち着いたデザインの着物を着ていた。


とにかく2人とも穏やかな方で、嫁VS姑のバトルを心配していた自分が馬鹿げた人間に思えたほどだった。


それにしても本当に夢のようだ。


私の隣には優しく微笑む先生がいる。


半年後の誕生日には、この人の奥さんになれるんだ。


そしたら遠距離恋愛ともおさらばで毎日、先生に会えるんだ。


先生との永遠を手にすることが出来るんだ。


胸が躍る。


こんな日をずっと待ちわびていた。


そして半年間、ずっと頭の中がそれを支配していて。


私は完全に浮かれていた。
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