夢でいいから~25歳差の物語
「…」
病室には沈黙が張りつめている。
病院のベッドに横たわる先生を見るのは2回目だった。
1回目は謎の集団の事件の時に先生が私をかばって負傷し、三七子ちゃんと一緒に病室でそばについていた時。
あの時の先生と、今、私の目の前で目を閉ざしている先生の姿が重なる。
「目、覚ましてよ…」
そっと語りかけても先生は指1本動かしてくれない。
しかし、確かな息づかいだけは聞こえてくる。
それは規則正しく、いかにも「先生は生きている」ということを実感させた。
私は先生の顔を覗き込む。
出会った時からずっと変わらない、黒い絹のような髪。
長いまつ毛。
少し高めの上向きの鼻。
今、少しだけ端がつり上がっている唇。
丸くなく、かといって面長でもない輪郭。
こんな状況なのに見とれてしまう。
これで48歳という年齢を、一体どれだけの人が見破ることが出来るだろう。
きっと誰も出来ない。
こんな時に不謹慎だと思いつつ、そんなことも考えた。
その時。
「う…」
暗かった世界に一筋、朝日が差し込むかのように先生が目を開けた。
「先生!良かった。もう心配したんですよ」
思わず手を取って笑う。
先生はしばし黙った後、微笑して言った。
「どうもご心配おかけ致しました。ところであなたは、どちら様でいらっしゃいましたっけ?」
せ、先生!?
病室には沈黙が張りつめている。
病院のベッドに横たわる先生を見るのは2回目だった。
1回目は謎の集団の事件の時に先生が私をかばって負傷し、三七子ちゃんと一緒に病室でそばについていた時。
あの時の先生と、今、私の目の前で目を閉ざしている先生の姿が重なる。
「目、覚ましてよ…」
そっと語りかけても先生は指1本動かしてくれない。
しかし、確かな息づかいだけは聞こえてくる。
それは規則正しく、いかにも「先生は生きている」ということを実感させた。
私は先生の顔を覗き込む。
出会った時からずっと変わらない、黒い絹のような髪。
長いまつ毛。
少し高めの上向きの鼻。
今、少しだけ端がつり上がっている唇。
丸くなく、かといって面長でもない輪郭。
こんな状況なのに見とれてしまう。
これで48歳という年齢を、一体どれだけの人が見破ることが出来るだろう。
きっと誰も出来ない。
こんな時に不謹慎だと思いつつ、そんなことも考えた。
その時。
「う…」
暗かった世界に一筋、朝日が差し込むかのように先生が目を開けた。
「先生!良かった。もう心配したんですよ」
思わず手を取って笑う。
先生はしばし黙った後、微笑して言った。
「どうもご心配おかけ致しました。ところであなたは、どちら様でいらっしゃいましたっけ?」
せ、先生!?