夢でいいから~25歳差の物語
「今までのことはわかりました。しかし、やはり思い出せません」
すまなそうに頭を下げている。
「まぁ、急ぐ必要はありません。ゆっくり思い出していけばいいと思いますよ」
母は先生をフォローするように言った。
「そうですね」
チクリ。
あれ?
胸が一瞬痛んだ。
先生…今、母を見て頬を染めなかった?
気のせいのわりには、やけにリアルに頭に残る。
「流星?」
母の声が私を思考の世界から現実に引き戻す。
「あ、なんでもない」
そう言って私は作り笑いを見せた。
落ち着きなさい、流星。
気のせいよ。
そう無理に思い込んでみる。
まだ違和感はあったが、私は考えるのをやめるために先生と母とで世間話をした。
しばらく話していると先生がこんなことを言った。
「いやー、それにしても高橋首相になってからもう2年が経つのにまったく景気が良くなりませんよね」
「え!?」
私達のことは忘れてしまったけど首相のことは覚えている?!
私は数年前に読んだ小説を思い出す。
あの主人公も記憶喪失になった時、彼女の恋人の記憶だけを失っていた。
まさか。
私はおそるおそる聞いてみた。
「先生、あなたが覚えていないのって私と母だけですか?」
すまなそうに頭を下げている。
「まぁ、急ぐ必要はありません。ゆっくり思い出していけばいいと思いますよ」
母は先生をフォローするように言った。
「そうですね」
チクリ。
あれ?
胸が一瞬痛んだ。
先生…今、母を見て頬を染めなかった?
気のせいのわりには、やけにリアルに頭に残る。
「流星?」
母の声が私を思考の世界から現実に引き戻す。
「あ、なんでもない」
そう言って私は作り笑いを見せた。
落ち着きなさい、流星。
気のせいよ。
そう無理に思い込んでみる。
まだ違和感はあったが、私は考えるのをやめるために先生と母とで世間話をした。
しばらく話していると先生がこんなことを言った。
「いやー、それにしても高橋首相になってからもう2年が経つのにまったく景気が良くなりませんよね」
「え!?」
私達のことは忘れてしまったけど首相のことは覚えている?!
私は数年前に読んだ小説を思い出す。
あの主人公も記憶喪失になった時、彼女の恋人の記憶だけを失っていた。
まさか。
私はおそるおそる聞いてみた。
「先生、あなたが覚えていないのって私と母だけですか?」