恋景色 ~真っ赤な嘘と林檎と誕生日~
第1章 「好きの裏返し」
「キーン、コーン、カーン、コーン……」
「はい、じゃあ今日はこれまでっ」
声の小さい安藤亜紀子先生は、チャイムの音に負けないように声を張り上げて言った。
「あしたはみんなが楽しみにしてた“お別れ遠足”ですから、遅刻なんかしないでねっ」
“そっか……あしたは小学校生活最後の遠足なんだ……”
分かっていたことなんだけど、そう思うと急に淋しい気持ちでいっぱいになった。
校区の関係で、このクラスの半分の人たちは別の中学に通うことになる。
“4月になって、中学生になって……違う制服を着て、違う中学に通うようになれば、あんなに仲がよかった6年2組のみんなもバラバラになっちゃうってことだよね……”
そう思うとなんか泣きそうになる。
「ハイ、先生!」
学級委員長の七森将児くんが元気よく手を挙げた。