恋景色 ~真っ赤な嘘と林檎と誕生日~
「先生……俺、遠足には行かねぇ……」
「七森くん…」
「将児」
「…!」
「だって、そうだろ? こんなキモチのまんま遠足なんか行っても全然楽しくねぇもん」
「キモチは分かるけど……でもね、人気者の七森くんが遠足に行かないんじゃ、6年2組のみんなだってつまんないと思うし、そんなことしたらピョン太だって悲しむわよ」
「そばについててやりたいんだ……一人ぼっちにしてたんじゃ、ピョン太は淋しがる……」
「………」
あたしはこのとき…、
“委員長ってやさしいんだ……”
…って思った。
「ピョン太はみんなが今日の遠足を楽しみにしてたのを知ってるわ。だから自分のせいで遠足がダメになったりしたら、天国で“ゴメン”ってみんなに謝るんじゃないかな?」
「ピョン太が……俺らに謝る……?」
「そうよ。だから七森くんも大沢さんも白石さんもみんなそろって、6年2組の全員一緒に小学校生活最後の遠足に行きましょ」