恋景色 ~真っ赤な嘘と林檎と誕生日~
「先生……」
「帰ってくるまでピョン太は用務員さんにお願いしといて、あとでみんなでお墓を作ってあげましょ」
「……分かったよ、先生」
「じゃあ、急ぎましょ。みんな待ってるわ」
「先生。いや典子や白石にも、ひとつだけ……約束してほしいことがある……」
「ん?」
「なに?」
「…?」
「ピョン太が死んだことは……みんなには黙っててほしいんだ……せめて……せめて遠足から帰ってくるまでは……」
「約束するわ」
「分かったよ、将児」
「うん、いいよ」
「みんな、ありがとなっ」
先生も典子ちゃんもあたしも約束を守った。
遠足のあいだはみんな悲しい素振りなんか見せないで、小学校生活最後の遠足を6年2組のみんなとワイワイ言って楽しんだ。
もちろん委員長もみんなの前でバカやってた。