恋景色 ~真っ赤な嘘と林檎と誕生日~
「なに? 七森くん」
「“おやつは300円まで”ってことですが、バナナはおやつに入りますかァ~?」
「ハハハハハッ」
委員長がふざけたような口調で言うもんだから6年2組のみんなが大爆笑した。
「フフッ」
泣きそうになっていたあたしもいつのまにか笑っていた。
委員長はクラスのムードメーカー……ってゆーかお笑い担当でみんなの人気者なんだけど、でもあたしはあんまし好きじゃない。
それに委員長のほうも、たぶん、あたしのことが嫌いなんだと思う。
だって……。
「オイ、白石! お前、ブスのクセにカワイコぶってんなよ!」
放課後、友だちの大沢典子ちゃんと一緒に近所のスーパーでおやつを買っていたあたしは、突然現れた委員長にお気に入りのピンクのリボンを強奪された。