恋景色 ~真っ赤な嘘と林檎と誕生日~

「ホラ、男子ってバカだから、好きな女のコを逆にイジメちゃったりするじゃん? なんてゆーか、裏返しの愛情表現みたいな」

「裏返しの愛情表現…」

「ホントは由妃ちゃんのことが可愛くってしかたないクセに、恥ずかしがって逆に“ブス”とか言ってリボンを取って、ワザと困らせるようなことをしちゃったりするんだよ♪」

「そーかな……」

「そーだよ♪」

「………」

「…で! 由妃ちゃんのほうは将児のこと、どう思ってるの?」

「あたしは……キライ……」

「あ~ァ、アイツもバカだねぇ。恥ずかしがってないで、正々堂々と由妃ちゃんにやさしくしてやんないから……。ホント、おバカ」

「………」


あたしは今の小学校に転校してきて、まだ1年も経っていないから、典子ちゃんほど委員長のことはよく知らない。

でも、リボンを強奪するっていう委員長の“行為”が、実はあたしに対する“好意”の表現だったなんて……。

そんなこと、夢にも思わなかったし、あたしにはどうしても信じられなかった――――
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