恋景色 ~真っ赤な嘘と林檎と誕生日~
“委員長は来なくていいよっ”
…って内心思ったけど、あたしは委員長と一緒にピョン太のいるウサギ小屋に向かった。
「大沢、もう出発の時間だぞ。急げ」
小屋の前までやってくると、金網の向こうで典子ちゃんがうずくまっているのが見えた。
「どうしたの? 典子ちゃん…」
「ピョン太が……ピョン太が……」
「えっ!!」
慌てて小屋の中に駆け込む委員長。
典子ちゃんの震える声に、なにかただならないものを感じたのはあたしだけじゃなかったみたい。
「ピョン太ぁーっ!」
突然、大声を出す委員長。
「…!」
イヤな予感がした。
だから恐る恐る委員長に訊いた。
「ピョン太……どうかしたの……?」
「………」