恋景色 ~真っ赤な嘘と林檎と誕生日~
「寿命…?」

「寿命って!」

かみつくような勢いで委員長が言った。

「ピョン太はまだ生まれて7年しか経ってないんだぜっ」

「前になにかの本で読んだことがあるんだけど、ニンゲンにとっての1年が、ウサギには7、8年くらいの長さに相当するらしいわ」

「ニンゲンの7、8倍の早さで歳を取るってこと?」

「そう、まさに大沢さんの言うとおりよ。だからウサギの平均寿命はおよそ7年っていわれてるわ」

「そんな……」

「七森くん。たしかにあたしたちニンゲンからしてみれば7年で死んじゃうっていうのは、すごく短い一生のように思えるけど、でも生き物によって寿命は様々だし、ピョン太は長生きしたほうじゃないかな?」

「………」

「それに学校でお世話するようになってからは、ピョン太はみんなに可愛がられてたし、ピョン太は幸せな一生をおくったんじゃないかな?」

「………」

「さぁ、みんなが遠足に行くのを楽しみに待ってるわ。ピョン太のお墓は学校に帰ってきてからみんなで作りましょ?」
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