【続】私は彼氏がキライです!?



面会終了時間の夜8時ギリギリに、お父さんとアツが病室に入ってきた。



「アツ、どうして?」



「だってお前、ずっと携帯繋がんないし」



病院に入る前に電源落としたまま。



アツに連絡を入れることも頭からすっぽり抜けていた。



「アツくんごめんね?」



「いえ・・・大丈夫ですか?」



「大丈夫よ?悪いんだけど、コナミのこと、連れて帰ってもらえる?」



「お母さん、コナミ今日はここに泊まる!」



「重病人じゃないんだから、付き添いなんて必要ないわよ」



だって、夜中に何かあったらどうするの?



痛くて眠れなかったら?



「お母さんが眠るまでお父さんが付いてるから、お前は帰りなさい」



「でも、面会時間が・・・」



「延長のお願いしてきたから大丈夫だ。お前は帰って少し休みなさい。ひどい顔してるぞ」



お父さんだってほとんど寝ていないのに。



明日も会社に行かなきゃいけないのに。



「コナミ、お父さんの言うことが聞けないの?」



無言で下を向いてると、お母さんの厳しい口調が聞こえた。



だって・・・



また泣き出しそうな私の背中をアツがそっと支えてくれる。



「連れて帰ります」



お母さんにまで心配そうな顔をさせてしまった私は、それ以上なにもいえなかった。



ただ、



「明日も来るから」



それだけしか。




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