【続】私は彼氏がキライです!?



わざと怒ったような声を出して、アツが私の脇腹をつねる。



「いたっ!!」



そう言えば、あのまま寝ちゃったけど、どうなったんだろう?



お父さんは当然もう帰って来てるよね?



アツが泊まっていることは知ってるの?



「たくっ素っ裸のまま寝やがって」



「あ・・・」



慌てて自分の姿を確認すると、パジャマ代わりのトレーナーとスウェットのズボンをちゃんと着ている。



それにアツもゆうくんのロンT姿。




「アツが着せてくれたの?」



うん、と頷くアツ。



その状況を想像すると、情けなさすぎて恥ずかしくなる。



「・・・ごめん」



だけどアツは怒るどころか、優しく引き寄せ胸に抱きしめてくれた。



ドクン、ドクン・・・。寝起きの少し高い体温とリズムよく刻む鼓動の音。



「可愛い顔して寝てたよ。無理して元気でいなくていい。俺の前だけでもいいから、無理すんな。愛してるから。守ってやるから」



「・・・ありがとう」



家族のため、お母さんのため・・・無事に退院出来る日まで、私がお母さんの代わりに家を守らなきゃって思ってた。



だけどなにひとつ上手く出来ない自分が悔しかった。



お母さんのことが心配で、不安で。



そんな私は、逆にみんなに心配させて。



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