【続】私は彼氏がキライです!?



都心にある有名ホテル。



こんな所、空いてるわけないじゃん。



99%のダメ元で私はそのホテルの入口をくぐった。



そして10分後、



「ホントですか!?」



静かなフロアに私の大きな声が響き渡った。



「ええ。昨日、丁度キャンセルが出まして」



ホテルのスーツをピシリと着こなした若い女性が笑顔で微笑む。



キャンセルという言葉に、一瞬ためらいが生まれた。



キャンセルということは、なにか条件が合わないとか不満な点があったからだよね?



飛び込みで来ちゃったから、私はこのホテルのブライダルサービスについて全く分からない状態だった。



「やっぱり、こんな高級ホテルだと、料金も相当なもんだったり・・・しますよね?」



恐る恐る、一番無視出来ないの質問を投げ掛けると、担当女性は、笑顔を崩すことなく、私の前にパンフレットを広げた。



「当ホテルは、お客様のご希望に添って、必要なものを自由に組み立てて頂くプランを多数ご用意致しております。料金の方も、お客様のご予算の中で最大限のサービスをさせて頂きます」



その言葉と同時に、まず私の目に飛び込んできたのはチャペルの写真。



白を基調とした装飾と、高い天井。パイプオルガン。



私が思い描く理想の教会。それをそのまま再現したような素敵なチャペルだった。



「お客様、とてもタイミングがよろしかったんですよ?」



「そうなんですか?」



「実は、式場のキャンセルというのはあまり珍しいことではないんです」



「えっ!?」



それって、めちゃくちゃ縁起悪くない!?



だって、結婚を取り止めるってことでしょ?



まさか、このホテル曰く付き??




私の表情から考えている事を読み取ったのか、その女性は柔らかく笑って言葉を続けた。



「大安の休日の挙式はどこも非常に予約が取りにくいものなんです」



それは分かる!!私は大きく頷いた。



「ですから、候補の式場を予めいくつかご予約される方もたくさんいらっしゃるんです。なのでこの様にキャンセルも出てくるんですが、やはりすぐに決まってしまうものでして」



「そうなんですね」



知らなかった。



だけど私はやっぱりめちゃくちゃラッキーなんじゃないだろうか?



これって神様のお導き?



はっきり言ってもっと慎重に決める事柄だと思う。



だけど、これを逃してしまえば、このチャンスは別の人の手に渡ってしまう。



「あの、ここで結婚式を挙げさせて下さい!!お願いします!!」



ここのチャペルで、アツと結婚式がしたい。



私は全力で頭を下げた。



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