【続】私は彼氏がキライです!?
窓の外に向けた視線の先・・・
信号の向こうにアツの姿を見つけた。
仕事だったはずなのにスーツを着ていないアツ。
隣に立つ綺麗な女の人と親しげに笑顔で話している。
まさか・・・浮気??
ないないないない。ありえない。
信号が変わってこっちに歩いてくる二人の姿からとっさに目を逸らした。
見てはいけないものを見てしまったような・・・同じ事が昔にあった事を思い出す。
あの時、私はアツに聞く事が出来なかった。
今はどうだろう?
「いらっしゃいませ〜」
店員さんの明るい声が響く。
「だいぶ待った?」
肩を濡らす雨の雫を払いながらアツは私の目の前の席に座った。
そう1人で。
「さっきの綺麗な人はいったい誰ですか?連絡もなしで彼女を1人で待たせて堂々と浮気ですか?」
待たされたイライラと、さっき見た自分じゃない人の隣を歩くアツの姿。
トゲのある嫌味な言い方でアツを睨むと、アツは窓の外に視線を向けた。
「こっから見えた?」
「質問に答えて下さ〜い!!」
自分でも驚いちゃったけど、躊躇う事なくアツを追求していた。
もしアツが浮気をしていたなら、絶対に知りたくないはずなのに、何だろう?そういう怖さみたいなのが全然なかったんだよね。
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