幕末オオカミ


「んんんんんーっ!!」



必死で逃れようとするが、狼と化した沖田の力にかなうはずもない。


その熱い唇は、押し付けられ、離されたと思うと、角度を変えて、また噛み付いてくる。


いや、牙を立てられるわけじゃないけども。


遠慮もなくぬるぬるとした舌をさしこみ、あたしの咥内を蹂躙(ジュウリン)するそれは、口づけなんて、甘い状態じゃない。



完全に『食べられている』状態なんだけどっ!!



「ん、んん……っ」



何が起こってるの?


呼吸が妨げられているせいか、息が苦くて、胸が苦しい。


体は熱くなって、心臓は今までないくらい、超高速で動き続ける。


呼吸困難と驚きで、死んでしまうかと思ったとき……



「わうっ」



沖田は、おもむろに唇を離し……


今度は首筋に、噛み付いた。



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